リスク
リスクとは「将来予測される収益や損失の不確実性のこと」です。
不確実性というのは、確率論の中では標準偏差として認識され、ボラティリティと言われます。
つまり、発生頻度の低い事象はリスクが低いと考えますが、頻度が低くても影響が大きい、例えば全財産を失うだとか、そういった事象は標準偏差も高くなるためリスクが高いという結果になります。
投資の世界ではリスクは「価格変動に対する不確実性」という意味でとらえられます。
1年後に株価が上がる確率、下がる確率、上がり幅、下がり幅と金融論では定量的にリターンとリスクを分析してより効率的な運用に貢献しています。
一般的に金融投資においては、複数の金融資産の分散投資することが良いとされています。この考え方についてはポートフォリオ理論で解説しています。
経済学上は、主なリスクは4つあると言われています。
信用リスク
流動性リスク
価格変動リスク
インフレリスク
信用リスク(デフォルトリスク)
信用リスクとは「債権が回収できなくなるリスクのこと」です。デフォルトリスクとも呼ばれます。
これは言葉通り簡単な話で、個人や法人が自分の借りたお金を返せなくなることです。
例えば、企業の社債には信用リスクが常につきまとってきます。その会社が将来的に存続し続けるかは誰もが予測できません。
優良企業と言われていたJALも倒産しましたし、絶対に安泰と言われていた銀行が破たんした事例もあります。
さらに、国が発行する国債にもその考え方を適用することができます。国が破たんするというイメージは日本にいると想像しにくいことですが、ギリシャ財政危機などは記憶に新しいかと思います。少し昔に遡れば、アジア通貨危機など日本の近くでも国の破たんを連想させた出来事がありました。
ちなみに、1990年にブラジル、1998年にロシア、2002年にアルゼンチンで大規模なデフォルトが発生しています。
こういった信用リスクを測る指標として、格付け機関が発行する信用格付けがあります。信用リスクの大きさで国債や社債の価値が変わってきます。資金調達をしたくて社債や国債を発行するので、資金調達できなければ金利を上げることになります。
つまり、信用リスクが高い金融商品の利回りは高くなってくるわけです。
新興国の社債など単純に利回りが高いからといって安易に手を出すのではなく、しっかりと信用リスクを考慮した上で投資を決める必要ああります。
流動性リスク(リクイディティリスク)
流動性リスクとは「取引量が少ないため、株式や債券がタイムリーに売買できないリスクのこと」です。リクイディティリスクとも呼ばれます。
様々なケースが想定されますが、主に2パターンです。
@市場の流通がもともと良くないケース
例えばジャスダック等に上場している企業の中には1日の取引が極端に少ない銘柄があります。
A緊急事態により市況が激変するケース
これは自然災害や戦争、システムトラブルからリーマンショックのような市場の大暴落等幅広いケースが予想されますが、いずれにせよ通常では考えられないことが発生したケースです。
我々投資家としては、その金融商品の割安感だけでなく、流動性リスクも考慮しながら投資を決める必要があります。
@は日々の出来高を見れば極端に流動性の悪いものは避けられます。Aについても予測するのは難しいですが、戦争や政治問題が起きやすい地域に関連するものの取引は避ける等リスクを下げる投資を心がけることが大切です。
価格変動リスク
価格変動リスクとは「金融商品の価格が将来変動するリスクのこと」です。
例えば、常に同じ株価で推移する株式は存在しません。東証一部の上場銘柄であれば、毎日株価が上がったり下がったりしているのが通常です。
債権も同じことです。今と3年後、同じ金額を投資しても得られる金利は変わっているかもしれません。金利が高くなっているのであれば債権としては価値が低くなるので、同じ債権でも価値が変動すると言えます。
このように、金融商品には常に価格変動リスクがあります。
このリスクは2つに分類することができます。
インフレリスク
インフレリスクとは「物価上昇(インフレーション)によりお金の価値が下がるリスクのこと」です。
日本はデフレ国家なので、あまりインフレを意識する機会は多くないかもしれませんが、世界的にみれば少なからずでもインフレしている国は非常に多いです。
物が値上がりすることがあると思いますが、それを物価が上がったと言います。今まで100円で買えていたお菓子が110円になってしまったという場合です。、お菓子の内容量が増えたとかではなく、全く同じ条件で単純に金額だけ上がっているのならば、それはお金の価値が下がったといえるわけです。
お金そのものの価値が下がってしまう状況は、投資においても良いとは言えません。
先ほどのお菓子の例にならい10%の物価上昇があったとします。物価上昇する前に100万円だった金融商品が、今も100万円である場合、金額は変わっていませんがその金融商品の価値が同じならば110万円でなければならないため、実は10万円損しているということになります。
実際の世界では、インフレしていて全く金融商品の価値が上がらないということはレアケースですが、完全にインフレ率カバーできるほど価値が上がるというケースもまた稀です。というよりも、その場合はインフレとは違う要因が考えられます。
日本という狭い視点でみると、インフレリスクをとらえることは難しいですが、グローバルにマクロ的な視点を持つことも大切と言えます。
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